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フード・ペアリングの楽しみ方 vol.4「酸と酸」

今回のペアリング

「自家製からすみと白蕪のミルフィーユ」×「EN-musubi」

読者の皆様、明けましておめでとうございます。

本年はじめの寄稿ということで、新年にふさわしいペアリングをご紹介させていただこうと思います。ぜひ皆様もお試しいただけましたら幸いです。

カクテル

レシピ

  • WA-BI-GIN エアーインフュージョン・アーモンド(*) 40ml
  • 南天芳香蒸留水(**) 20ml
  • 和三盆 2tsp
  • レモンジュース 5ml
  • 生クリーム 20ml

*WA-BI-GIN エアーインフュージョン・アーモンド

アーモンド 30gをフライパンで煎ったものを軽く潰し、表面にうっすらとアーモンドオイルが出たら深めの茶こしに入れ、下に300mlのWA-BI-GINをいれたティンの上に置き、ラップで密閉をして一晩おく。

**南天芳香蒸留水(氣水)

今回は簡易的な作り方でご紹介させて頂きます。
蒸し器の下鍋にミネラルウォーター700mlと南天の葉(乾燥)80gを入れ、電熱器で湯温 60~70度に設定する。蒸し器の網の部分(中心)に耐熱のボールを置く。鍋の上部に丼で蓋をして水を張り、冷却水とする。1〜2時間程度で200ml程度の芳香蒸留水が得られる。

あくまで簡易的な方法なので、芳香を強く取得したい場合は純引蒸留器を使用することをお勧めいたします。

作り方

①材料を全てシェーカーに入れ、長めにシェイク。

②バーズネストで余分なチップを除去してグラスに注ぐ

フード「自家製からすみと白蕪ミルフィーユ」

レシピ

  • 自家製からすみ(***/市販のものでも可) そぎ切り 6枚
  • 白蕪 色紙切り 6枚
  • 柚子皮 適量
  • エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル 適量

作り方

***自家製からすみの作り方

材料
ボラの卵巣 1枚
粗塩    適量
酒     適量

  1. ボラの卵巣の血合いをペティナイフでこそぎ、血抜きをする。
  2. 清潔なタッパーに粗塩をしき、下処理をした卵巣を置く。粗塩を上から卵巣が隠れるように敷き詰めて、冷蔵庫に入れて1週間寝かせる。
  3. 1日目で水分が大量に出るので、塩を変える。(卵巣の水洗いはしない)サイズにより変わるが、こまめに水分をチェックしておく。
  4. 約1週間後(卵巣が硬くなったら)、流水で塩抜きを一晩する。
  5. 余分な水分を拭き取り、酒(当店ではタリスカー)を塗り天日干しにする。
  6. 約2週間(地方による)酒を塗りながら、乾燥させて完成。

組み立て

  1. 白蕪の皮をむき、色紙切りにする。
  2. からすみをそぎ切りにして、白蕪ではさみ、ミルフィーユ仕立てにする。
  3. ゆずの皮を散らし、オリーブオイルを少量かけてサーブする。

今回のペアリング・ポイント

今回のペアリングは、「再構築」を用いて作り上げました。

ペアリングでの再構築は、料理の素材に含まれているものを一度分解させてからパズルのように組み合わせていく方法論です。

私がスタンダード・カクテルのツイストを作り上げていく中でも用いる方法です。料理を一度分解させてから作り上げていく補完方法は、いずれまたご紹介をさせていただきますが、今回はスタンダード・カクテルの「マグノリア・ブロッサム」と「ピンク・スクワァーレル」を組み合わせて分解・再構築をさせたペアリングとなっております。

シェイクにより生じる気泡と生クリームの乳脂肪によってアルコールの刺激と香りが丸くなる効果を逆に利用して、隠れたアーモンドの香ばしさをからすみで呼び起こすという、ペアリングによって二つのカクテルの味わいを愉しむことができる組み合わせです。

カクテルを飲むと爽やかな南天のフルーティーさを愉しめ、ナッティな味わいのある「からすみと白蕪のミルフィーユ」を一口食べた後に再びカクテルに口をつけると、エアーインフュージョンをしたWA-BI-GINのアーモンドの香りが引き立ち、香ばしい味わいのカクテルに変化をしてまいります。

春一番に咲くタイザンボクの花を新しい春の訪れに、正月飾りに使われる南天の氣水で「難を転じて福となす」。ピンク・スクワァーレルで子孫繁栄。

新年にふさわしいペアリングとしてご紹介をさせていただきました。

今回のペアリングの組み立て方

初めにペアリング・テーマを考える。

テーマが決まったらカクテルから考えるのか料理から考えていくのかを決める。(今回は正月にふさわしいカクテルからの方法)

次にカクテルの素材を分解させて、それぞれの相性や似ている香り、味わいを探す。

そこから味わいの強弱のバランスがどのようになっているのかを考え、それぞれで一度ペアリングをしてから考える。

次に、カクテルの足し算と引き算をして素材配分を再構築。引いた部分を料理に落とし込む。

そして塩味、旨味、酸味、食感とカクテルとのバランスを考えて、必要なペアリングの料理を再構築していく方法をとりました。

今回の考え方をイメージしやすいように表にしてみました。

DRINKFOOD
  
マグノリア・ブロッサム 
ジン→ 白蕪
レモンジュース→ 柚子皮
生クリーム→ 食感、ふくらみ
グレナデンシロップ→ 南天 氣水
  
ピンク・スクワァーレル 
クレーム・ド・ノワヨー→ からすみ
クレーム・ド・カカオ→ からすみ
生クリーム→ 食感、ふくらみ

この記事を書いた人

井谷 匡伯
井谷 匡伯https://ameblo.jp/barnoage/
静岡県袋井市生まれ。地元で2000年にBAR NO'AGEを開店し、2007年に現在の静岡市へ移転。料理人を目指していた頃に培った、料理の技術とお酒に合わせて提供するスタイルを開店当初からベースとしている。様々な料飲専門書にローカル・カルチャーを基本としたカクテル・ペアリングを提案。現在も研究を推し進め、SNSを通じて様々な可能性を発信している。
井谷 匡伯
井谷 匡伯https://ameblo.jp/barnoage/
静岡県袋井市生まれ。地元で2000年にBAR NO'AGEを開店し、2007年に現在の静岡市へ移転。料理人を目指していた頃に培った、料理の技術とお酒に合わせて提供するスタイルを開店当初からベースとしている。様々な料飲専門書にローカル・カルチャーを基本としたカクテル・ペアリングを提案。現在も研究を推し進め、SNSを通じて様々な可能性を発信している。