今回は吉村流テイスティング法の香味表現、アロマの「苦み/渋み」を紹介しよう。
苦みは本来、香りではなく味の表現だ。アロマにおける苦みとは、苦い味を想像する香りということになる。アロマテラピーにおいては「ビターな香り」という概念が存在するが、これはスイートやクリアの対義語として、便宜的に使われているという理解だ。それに対し、渋い香りというのも存在する。
どちらも好ましいアロマとは言い難く、吉村流ではオフフレーバーだと位置づけているが、少し苦いウイスキーが好きだとおっしゃるドリンカーがいることもまた事実だ。
苦みを感じる食物といえば、焦げた、もしくは焦がしたものがまず頭に浮かぶ。食欲をそそるこんがり感はむしろ好ましいが、焦がし過ぎは不快でしかない。なおスコッチではほとんど見かけないが、高温で焙煎したチョコレートモルトで仕込んだウイスキーにも苦いウイスキーはしばしばある。
苦みは野菜にも感じることは多く、香味表現としてよく使う。ゴーヤやチコリ、エンダイブ、クワイなどだ。だがどちらかといえば、アロマよりもフレーバーの表現として使うことの方が多い。
食物以外では、苦いアロマを樹皮と表現することもある。樹皮をかじれば苦いことは、誰でも容易に想像がつくだろう。これもアロマよりもフレーバーの表現でよく使う。
渋みは、ワイン樽熟成のウイスキーでしばしば見受けられる。特に赤ワインで顕著だが、その理由はわかりやすい。だがシェリーなどの、酒精強化ワイン樽で寝かされた、もしくは後熟されたウイスキーは渋みがなく素晴らしい風味のものも多い。
次回はアロマの「ひね香」と「他の酒」の表現を紹介したい。
Aroma 苦味/渋み の香味表現
硬い樹皮 |
グレープフルーツの綿 |
香ばしい焦げ臭 |
樹皮 |
針葉樹の外皮 |
すす |
炭 |
ドライで心地いい渋香 |
ブドウの皮を噛んだような渋さ |
プルーンの赤ワイン煮 |
レモンの綿 |
ワイン樽 |