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吉村流 ウイスキー テイスティング8
「潮/煙 /土」

今回は吉村流テイスティング法の香味表現、アロマの「潮/煙 /土」を紹介しよう。この項目も「エステル」と同様、数が多い ので2分割させていただく。

潮と煙、そして土。この3つの要素は言葉の意味を考えると無関係のようにも思えるが、ウイスキーのアロマでは結びついた状態で感じることが少なくない。その理由は、これらのアロマの生成がいずれもピート(泥炭)に起因しているためだ。モルトウイスキーの原料である麦芽を乾燥させる際はピートや無煙炭などの燃料を燃やして行うが、ピートを用いた場合は特有の燻香が付加される。ピートは一般的にシダやコケ類、草などが堆積してつくられるが、アイラ島のピートには海藻が含まれていることも多く、これが「潮」の風味の原因となっていると言われている。

これらの風味はピーティやスモーキーなどと表現する。混同して使われることも多いが、吉村流ではより土っぽいニュアンスのものをピーティ、煙のニュアンスが強いものをスモーキーと呼んで使い分けている。

潮っぽいアロマからは昆布や塩焼きにしたエビなどの海産物を連想することもあり、食欲が鼓舞されることも少なくない。

燻煙の要素が乏しい土っぽい風味はアーシーと表現することもある。由来はピートではなく、製造過程で除去しきれなかった硫黄のように思われる。粘土という表現も同様だ。

「塩素」という香味表現はプールの消毒薬のイメージで、燻煙香と一緒に感じられることがしばしばある。

次回はアロマの「潮/煙/土」の表現の後半を紹介したい

Aroma 潮/煙/土 の香味表現

アーシー赤エビの塩焼き
暖かい煙 暖かな日の潮風
厚みのあるピート香 甘い粘土
雨上がりの花畑と木製の柵 雨に濡れた砂浜
雨に濡れた土草 雨の漁場
雨の海岸 粗塩
磯の焚き火跡
磯の波しぶき 燻された大麦のハスク
燻された粘土 燻された粘土
燻した沢庵 燻した生木
燻した麦藁 雨後の果断とその土
海風海塩
海沿いの小川海辺に咲く花
海辺のウェアハウス海辺の芝生
海辺の水たまりとそこに咲く草花海辺を連想させる煙
海靄奥に土と煙
塩素落ち葉の焚き火
重い煙重い潮風
重く湿った海風海岸沿いの濡れた土
海岸近くの草土海岸近くの湿地
海岸近くの針葉樹林海岸近くの草原
海岸近くの沼海岸近くのバラック
海岸近くの牧草地海岸近くの水草
海岸近くを流れる小川海岸に打ち上げられた海藻
海岸に捨てられた木製のボート海岸の岩
海岸の朽ちたバラック海岸の砂
海岸の焚き火海岸の焚き火跡
海岸の波しぶき海岸の松林
海水海水でふやけた煎餅
かすかな煙海藻
かすかな潮風かすかに潮っぽいピート
紙粘土軽い潮気を含んだ煙
軽やかな燻香軽やかな潮風
乾いた土乾燥しかけてる粘土
くすぶっている炭くすぶっている焚火の跡

この記事を書いた人

吉村宗之
吉村宗之https://ms-tasting.co.jp/
1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。
吉村宗之
吉村宗之https://ms-tasting.co.jp/
1990年頃、スコッチウイスキーの魅力に開眼、次第に傾斜を深めていく。1998年、ウェブサイト「M's Bar」を開設、書き溜めていたシングルモルトのテイスティングノートを公開。2005年、ウイスキー専門誌「THE Whisky World」の発足メンバーに。現在は、試飲のできるリカーショップ「M's Tasting Room」の運営に携わり、ウイスキー関連のイベントでは講師やアドバイザーなども務める。著書に『うまいウイスキーの科学』(ソフトバンククリエイティブ)など。