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ウイスキーなど蒸溜酒を造るためには、それなりの装置と技術が必要です。ある程度の文化レベルが必要であり、樽にて熟成を行うことから程よい気候の土地でないと造ることができません。
暑すぎる土地では、発酵の管理が難しくなりますし、熟成中の揮散量(蒸発して樽の中身が減る=エンジェルズ・シェア)も多くなりますので長期熟成ができなくなります。一方、寒冷地では熟成が進まず、飲み頃になるまでかなりの時間がかかってしまいます。
ウイスキーの産地は、近年のウイスキークラフト蒸溜所ブームの影響で、各国に増えています。
五大産地のほか、フランスや北欧などヨーロッパのほぼ全ての国、それ以外にもインド、東南アジア、台湾、南半球ではオートラリアやNZ、南アフリカなどでも造られています。
日本(ジャパニーズウイスキー)
作られているウイスキーの種類
- モルトウイスキー
- グレーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
日本のウイスキーは、スコッチを手本としてきた歴史がありますので、スタイルや香味はスコッチと似ています。メーカーごとにその歴史背景から香味にスタイルがあります。
サントリーはバランスよくまろやかで飲みやすい印象、ニッカは伝統的な製法による重厚で力強い印象、キリンはアメリカ・カナダの技術提携によるクリーンで華やかな印象です。
近年の世界的なジャパニーズブームにより、新たな蒸溜所が次々と誕生しています。
アメリカ(アメリカンウイスキー)
作られているウイスキーの種類
- バーボンウイスキー
- ライウイスキー
- ホィートウイスキー
- モルトウイスキー
- ライモルトウイスキー
- コーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
日本の市場に入ってくるアメリカンウイスキーと言えば、ほぼバーボンと言えるでしょう。原料であるトウモロコシ由来の甘味やオイリーさ、新樽由来のウッディさ・スパイス・メープル様の個性は、他のウイスキーにはない独特のものです。
ちなみにバーボンは製法の規格ですので、ケンタッキー州バーボン郡以外の土地で造られても、その製法を守ればバーボンと名乗れます。実際シカゴやシアトル産のバーボンも日本で販売されています。
近年のクラフトブームの火付け役がアメリカで、様々なスピリッツを造るマイクロ蒸溜所が日々誕生しています。
スコットランド(スコッチウイスキー)
作られているウイスキーの種類
モルトウイスキー(大麦麦芽が原料・単式蒸留機)
- スペイサイド
- ハイランド
- ローランド
- キャンベルタウン
- アイラ
- アイランズ
その他
- ブレンデッドウイスキー(モルト+グレーン、モルト+モルト)
- グレーンウイスキー(トウモロコシや小麦が原料・連続式蒸留機)
スコッチは、五大ウイスキーの中では最も生産量が多く、その60~70%を占めています。
ウイスキーと言えばスコッチを思いつく方が多いのも頷けます。北海道ほどの大きさの中に120を超える蒸溜所が稼働しています。
造られるウイスキーのうち、モルトとして製品化するのは20%程度で、残りはブレンデッドになります。ブレンデッドはふくよかでバランスよく飲みやすいものが多く、モルトはより個性豊かな香味があります。特にアイラモルトはスモーキー・薬品臭が特徴で、スコッチの代名詞的なウイスキーと言えます。
アイルランド(アイリッシュウイスキー)
- ポットスチルウイスキー
- モルトウイスキー
- グレーンウイスキー
- ブレンデッドウイスキー
アイリッシュは、麦芽とそれ以外の穀物を使ったポットスチルウイスキーを伝統的に製造してきました。
味わいは品の良い独特な甘さと、オイリーなテクスチャーがあります。1970年代に2か所まで蒸溜所が減りましたが、近年の蒸溜所ブームで現在は30近い蒸溜所が稼働し、現在最も活気のあるウイスキーと言えます。
スコッチのようにモルトを製造する蒸溜所も多いですが、ポットスチルウイスキーについても見直され、両方を製造する蒸溜所が増えてきています。
カナダ(カナディアンウイスキー)
- ブレンデッドウイスキー
カナディアンは、アメリカの禁酒法で最も成長したウイスキーです。
5大ウイスキーの中で最も穏やかで飲みやすい印象でしたが、ここ数年、9.09%の添加分に様々な酒類を使用することで、より個性豊かなウイスキーを誕生させています。
またライウイスキーについても見直され、個性的な製品が多く造られています。近年もっとも多様化しつつあるウイスキーです。
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